「林業事業体の従業員がいきいきと働ける職場をどうつくるか」―林業ベンチャー株式会社中川が「わかやま健康推進事業所」として認定されました
近年、会社内における対人関係によるストレスや長時間労働による疲労等、「働くひと」の健康被害や自殺などが社会問題となっています。さらに新型コロナウイルスの流行が続く今、企業としては「どうやって従業員が心身ともに健康に働ける環境を整えるか」を考えていかなくてはなりません。
株式会社中川は林業(造林)を行う企業です。林業は重機による事故、山林からの滑落など他産業と比べても労働災害に遭う可能性が高い職業でもあります。だからこそ、少しでも従業員が安全で健康、そして楽しく働ける環境を整えることが重要だと思います。今回は株式会社中川で行っている「従業員がいきいきと働ける職場」づくりのための取組をひとつご紹介します。
株式会社中川では、1日6時間労働・フレックスタイム制を導入しています。現場の作業員は40kg近い苗木を背負い一日植栽の作業をすることもあるため、一日の労働でかなりの体力を消耗します。そのような体力を使う労働を長時間続けると、事故に繋がるのはもちろん、心も体も疲弊してしまいます。企業側から見ても、彼らを長時間無理に働かせるということは効率の悪さに繋がります。また大切な従業員の家族との時間や自由な趣味の時間など、人生において必要不可欠な時間を削ってしまうことにも繋がります。
そのため株式会社中川では、一日の労働時間は6時間。出勤日は従業員自身が決めてOK。急な休みも当日の出勤時間までに連絡を入れればOK。ほとんどの作業員は昼すぎには勤務を終えて釣りに出かけたり、家族と買い物をしたり、時には長期休暇を取って旅にでたり。一人一人の生活に合わせて自由に安全に働ける環境を整えています。
そのような体制で、「従業員の給与はとても低いんじゃないか?」「休んだら評価が下がるんじゃないか?」そのような質問をよく受けます。株式会社中川では、現場班長による評価制度を取り入れています。つまり従業員が従業員の給与を決めるのです。班長が班員の作業レベルを日々見て、実力が上がれば給与を上げる仕組みです。3カ月に1度査定のタイミングを設定しています。また、全従業員の給与を公開しており、どの作業員のレベルになれば、どれだけの給与がもらえるのかを明確にしています。そのため作業員は日々実力をあげようと自ら考えて働き、社内全体としての作業の効率やクオリティも向上するのです。会社としても、班長から「この従業員にこれだけの給与をあげたい」と言われたときに対応できるように、広告や採用などにはお金をかけず、従業員の給与に充てるようにしています。
和歌山県と協会けんぽ和歌山支部は、和歌山県内に所在する事業所を対象に、「従業員がいきいきと働ける職場」を目指し、職場の健康づくりをサポートする事業「わかやま健康づくりチャレンジ運動」を実施しています。その運動を活用して、従業員の生活習慣病の予防や健康寿命延伸のために積極的に健康づくりに取り組む企業に対し、県が認定証を発行する「わかやま健康推進事業所」に、このような取り組みが評価され、株式会社中川が認定されました。これからも従業員が働きやすい職場を整えるために、工夫を重ね、発信していきたいと思います。